現代子ども若者調査研究所
趣旨説明
現代子ども若者調査研究所 企画趣旨
戦後日本の高度成長の推進力になったのは新しい産業構造の拡大です。
それは「家族マーケット」「女性マーケット」そして「子どもマーケット」などの領域で、戦前にはなかった発想で商品やサービスが拡大されました。
その動きは、メーカーである大企業と、小さな市場調査会社との共同作業を行われてきました。「子どもマーケット」においては、子ども調査研究所(高山英男所長)が、子ども向け産業の企業と組んで、子どもたちの生活と意識の調査を続け、その中から大ヒット商品が多数生まれました。
高山さんは、無名の若い人を発見する名人でもありました。橘川は10代の後半に高山さんに声をかけられ、子ども調査研究所に出入りして、高山さんが亡くなるまで、40年近くお世話になりました。
80年代バブルを境目にして、日本の企業は「集中と選択」を掛け声して、新しい商品開発をするエネルギーを捨てて、既存のビジネス構造の利益率の高いところに企業のエネルギーを集中しまた。その結果、日本は、世界に向けて新しい商品を提供する力を失ったのだと思います。21世紀になり、電通も博報堂も、マーケティング局を廃止しました。企業と一緒に、新しい商品を開発し、そのことによって広告宣伝費を拡大してきた方法を捨てたのです。
私は、1970年代から80年代半ばからはじまるバブル直前までの日本の企業が、新しい商品を作るために、どれほど情熱的に議論していたか、顧客と向かい合っていたかということを知っています。単なるデータではない、生身の顧客の姿とニーズを企業の開発者たちは真剣に探ろうとしていました。
バブルとは、金融の阿片だと思います。一つずつ丁寧に商品を開発するより、マネーゲームの方が巨額の利益が得られるという幻想に酔ってしまったのだと思います。バブル破綻以後の日本の体たらくを見るにつれて、私は、70年代の日本社会の情熱を思い、再び意識を70年代にもってきて、金融バブルに進まない80年代を目指すべきだと思っています。
「現代子ども若者調査研究所」は、故・高山英男、近藤純夫の意志を引き継ぎ、新しい時代へ探るマーケティングのグループとしてスタートしたい。想いを同じくする皆様の合流を期待しします。ご連絡をお待ちしています。
橘川幸夫
プロジェクト
プロジェクト
今後、さまざまなプロジェクトを行います。現在、進行中の企画は以下です。
1.現代高校生気質の調査
15年前にiPhoneが登場しました。現在15歳の高校生は、生まれた時からiPhoneがあった世代です。この世代のことを「メタ世代」と呼び、これまでの若者と何が違うか、何が同じか、何を求めているのかなどを探ります。
まずアンケート調査を実施します。
高校生の関係者がいましたら、ぜひ、回答をお願いしてください。
今後、対面インタビュー、グループインタビューなどを行って報告書にまとめる予定です。
▼アンケートはGoogleフォームで実施します。以下をご覧ください。
2.「80年代子ども調査研究資料」
子ども調査研究所では、1970年から1990年代にかけて、小学生の生活意識調査を実施してきました。これまで「子ども調査資料集成」としてまとめられています。1巻が1400頁に及ぶものです。第一巻は1974年に刊行され、第ニ巻は1978に刊行されています。今では、貴重な資料として、古書業界で高値で取引されている。
三巻目は調査は終了していたのですが、刊行されることなく、高山さん、近藤さんも亡くなってしまった。プリントされたデータをご家族から橘川が預かって保管しているので、刊行したいと思っています。